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2 そうして、代弥喬子は続ける。 「問題は企画ですよね」 「そーだな。‥なにやる予定だっけ?」 「ボケましたかセンセエ。[トイレの歴史とその形態の変遷、および屎尿処理の模式図作成]となっておりましたです」 「あー。そうだったそうだった。社会派だね」 そういう高橋を、代弥喬子は腕を組んで、うとましそうに眺めやる。 「それでですね、コレ、間に合いません」 「え、なんで?」 「じつはコレ、笠原が突貫でやることになってました」 「そーなの?」 「はい。事実上、カノジョにまる投げでした」 「えーっ‥マジ?」 「はい。ここしばらく学校にでてこないのも、てっきり家でカンヅメになって制作にいそしんでいるのだとばかり」 「なんでそんな」 「笠原は立案者で提案者で資料提供者で実製作の担当者、という、いわばトイレのうんちくに関してのスペシャリスト的な‥」 と、そこで高橋は考え込むように顔をしたにむけつつ、手を振りながら代弥の話にわってはいる。 「んじゃさんじゃさ、他のみんなは?なにしてんの」 「教室内の飾りつけの準備と、マスコットキャラクター[うんこちゃん]のきぐるみを着るひとの、選定作業をしていました」 「うんこちゃん?そんなのあんの?」 「いえ。まだ作ってません。つくったとして、誰か入ってくれるひとがいるのかな、というのを勘案しておりまして」 「あ、そー」 「なにぶん微妙な問題を含んでおりまして」 「ふうん」 「まあ、誰も入ってくれないようなら、そんなものつくんなくてもいーのかなと」 「ほー」
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