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代弥喬子がまだまだ続ける。
「まあ、そーゆーわけでして。予算もないし肝腎の出しものも手詰まり」
高橋は憂うつそうに、ぼーりぼーり、とアタマをかいて「参加を辞退するしかない、と?」
「でも、それもイタいですね。すでに実行委員会からは資金が支払われているわけですから」
「いまさら参加を取りやめるとかいっても、資金を返すアテがない、と」
「はい。だって‥さっきもいいましたけど、私たちみーんな身銭切ってますもん!これ以上はむりです」
「そーか。つまり‥せっかくのお祭騒ぎなんだから、便乗して元がとりかえせるくらいのイベントのアイデアはないのかな、と。そーゆーことか」
「そーなんですよ。先生」
代弥喬子は、やっとハナシの本意が伝わったというようにため息をつく。
「それで、なにかいい案はでたのか?」
高橋がそう訊くのへ、代弥喬子は両手を返したお手あげのポーズで応えた。
「いーえ。まるで」
ここで担当教諭高橋秋之進はすこし間をためた。
「そうか。では、センセエにとっておきの名案がある」
「なんですか?」
と代弥喬子。
ことわる必要はないと思うが、彼女はなんの期待もしていない。
突如、高橋は大声をあげる。「みんなあ!注目!センセエの足みろ、あし」
クラス一同「???」
↓↓↓
ワンモアクラス一同「ぎゃーっ!!」
高橋が自分で指さす先の彼の下半身に足はない。
足は腰から生えでてはいるが、股から膝のあいま辺りでゆるやかにフェイドアウトしており、つまり彼・高橋秋之進は‥この世のものではないのであった。
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