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とある休日。
まだ中学に入学したばかりの春の日だった。
神崎が朝、目覚めると、一人の女の子(とはいっても神崎と同い年ぐらいだが)がしゃがんで見下ろしていた。
「何だよ…?」
神崎はぶっきらぼうにそう言った。
「ん、こんなところで寝てるから、心配になってね」
屈託のない笑顔で答える少女。
神崎は少しイラついた。
笑顔が嫌いだった。
誰の笑顔を見ても、薄ら笑いか、嘲笑いか、作り笑いとしか思えなかった。
遺産をすべて掠め取ったあの男も笑って近寄ってきたのを覚えている。
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