第八六一四話

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「さてと。生き残った一人はあたしだな。チープでストレートで手っ取り早くて、哲学も思想も人間ドラマも求めない、ただ殺し合うだけの茶番は終わりだ。この物語の主役は、人を【殺め】るために創造されたキャラクター、【アヤメ】っつーことで終幕イタシマスです、パチパチパチパチ~」 人を食った笑い方でアヤメは“こちら”を見た。 死の世界を統治するイザナミのような昏い瞳が、“あなた”の視線と絡み合う。 「少しは暇つぶしになったか、読者共」 彼女は投擲でもするように剣を投げつけてくる。 それは“あなた”のケータイの画面に突き刺さる。 紙風船が破裂したような、パンッ、という間抜けな音がした。 水面に石でも落としたように、液晶がキラキラと砕け散る。 (♪~ 閉じた世界をzeroに戻そう、過去と今は消え、【未】だに【来】ない【未来】は最初から望まない、そしてまた新しい過去が始まる) 真っ黒になった画面の向こうから、笑いさざめく声がする。 「あたしは次もバトルモノがいいぜ」 (僕は人が殺せれば何でもいいや~) そして八六一四回目の物語は閉じられた。 第八六一四話 完
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