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「さてと。生き残った一人はあたしだな。チープでストレートで手っ取り早くて、哲学も思想も人間ドラマも求めない、ただ殺し合うだけの茶番は終わりだ。この物語の主役は、人を【殺め】るために創造されたキャラクター、【アヤメ】っつーことで終幕イタシマスです、パチパチパチパチ~」
人を食った笑い方でアヤメは“こちら”を見た。
死の世界を統治するイザナミのような昏い瞳が、“あなた”の視線と絡み合う。
「少しは暇つぶしになったか、読者共」
彼女は投擲でもするように剣を投げつけてくる。
それは“あなた”のケータイの画面に突き刺さる。
紙風船が破裂したような、パンッ、という間抜けな音がした。
水面に石でも落としたように、液晶がキラキラと砕け散る。
(♪~ 閉じた世界をzeroに戻そう、過去と今は消え、【未】だに【来】ない【未来】は最初から望まない、そしてまた新しい過去が始まる)
真っ黒になった画面の向こうから、笑いさざめく声がする。
「あたしは次もバトルモノがいいぜ」
(僕は人が殺せれば何でもいいや~)
そして八六一四回目の物語は閉じられた。
第八六一四話 完
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