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赤毛の少女が豪快に腕を振りまわす。
それを受け止めようとして、アヤメの剣が吹き飛んだ。
「こんのっ! 馬鹿力っ!」
アヤメ自身も死体の上に叩きつけられた。
剣は回転しながら床を滑り、壁にぶつかって止まる。
赤毛の少女は止めを差しにかかった。
しかしアヤメまであと一歩というところまで迫った時、何かが彼女の足を絡めとった。
「ブァ?」
闇が足元で蠢いている。
月灯りだけでは正体がつかめない。
「ヴ、ァ、ア?」
「早くしろ、夜薙!」
赤毛の少女が顔を上げた時には、アヤメの手に吹き飛ばされたはずの剣が握られていた。
少女は瞳孔の開ききった目を真ん丸に見開いた。
(僕ってば本当に自由闊達、変幻自在、とぉっても素敵に無敵だよね♪)
夜薙がきゃらきゃら笑う。
アヤメは再び手にした剣で、鬼の腕を肩から斬り落とした。
「ガアアアア!」
アヤメは軽く鼻から息を吐いた。
「けーせーぎゃくてぇ~ん」
仰向けに倒れた少女の腹を、アヤメの血塗れの上履きが踏みつける。
「あたしらは下手に夢なんか見ずに、素直に六道輪廻を彷徨ってようや?」
剣が赤毛の少女の喉元に突き付けられる。
「消”エ”タ”ク”ナ”イ”ィ”ィ”イ”!」
「リセット可能なくせに一々ほざくな」
赤毛の少女は滅茶苦茶にもがく。
残された方の腕がアヤメのスカートをひっかけ、盛大にめくりあげた。
(あっちゃあ……)
夜薙が間の抜けた、どこか面白がっている声を出す。
アヤメは頬を引きつらせた後、ゆっくりと微笑んだ。
それは地獄花がほころんでいく様に似ていた。
「見たな、あたしのパンツ」
(♪~ 永遠の拷問を、その瞳に張り付いたわたしの顔は、地獄に落ちても剥がれない)
――ザシュッ。
白百合のようなアヤメの頬に、鮮やかな血飛沫が散った。
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