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アヤメと夜薙は生き残りを探して校舎内を徘徊していた。
アヤメのスカートからは赤い液体が滴っている。
もちろん全て斬り殺した相手のものだ。
「あークソ、血ぃ吸って服が重ぇよ。乾いてくるとガビガビに固まって動きづらくなるし。なんで設定が少女ってだけでいつも制服姿なんだ?」
(いっそのこと脱いじゃえば?)
「そっち方面でサービスする気はねぇ。つーかこの血液量、生理何回分かね」
(あれ、鉄壁のアヤメちゃんに生理なんてあったっけ?)
「随分前に、鬼子作るっつって研究所に監禁されて、ぽこぽこガキ産まされた話があっただろーが」
(ああ、あれはえげつなくて面白かったねぇ)
「おまえの頭はウミウシみたいにカラフルでポップでドリーミングだな」
暢気なかけ合いをしながら、アヤメの足は誰かの内臓を踏みつけていく。
それを追って、長い黒髪が深海に閉ざされたような世界を漂う。
「お、発見」
三階の教室で少女が一人泣いていた。
机に腰掛け、小さな体を丸めて肩を震わせている。
どこにでもありそうな黒髪のボブカット、スカートも校則にぴったりの長さ。
図書委員でもしていそうな少女だ。
前髪が長く、顔の左半分が隠れてしまっている。
「他に生き残りもいないみたいだし、今回のラスボスはおまえってことでOK?」
少女はこちらに気づくと、派手な音を立てて机から転げ落ちた。
「わ、わたし……もう、嫌。ふ、普通の、人間、に、なり、たい……」
「とか言いつつ、これは何だよ? おまえがやったんだろうが」
床には遺体が二つ。
少女はびくりと肩をひきつらせ、また泣き始めた。
「怖いのも、痛いのも、嫌……」
「つっても最後の一人になるまでこの話は終わらねぇ。どっちかが勝たなきゃ夜は明けねぇんだよ」
アヤメは剣を構えた。
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