サバイバル

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「四回生の皆さん、いよいよ明日が今年最後のサバイバル演習です。悔いを残さないように頑張って下さい。」 紅葉は今年で学園の四回生だ。 学園は12歳から六年間のカリキュラムが組まれている。 この学園は防衛軍に入る前の訓練所のような物だが、皆が卒業まで待ってから防衛軍の試験を受ける訳ではない。 例えば明日から行われるサバイバル演習は軍の人が視察しにくる。 演習で活躍して軍に必要であると認められれば即入軍できるのだ。 「・・・という訳で今日の授業は終わります。お疲れ様でした。」 先生の挨拶が終わると紅葉は後ろから声を掛けられた。 「紅葉、ちょっといいか?」 「なんだレノンか、どうしたんだ」 がっちりとした体格に似合わない童顔、短めに刈り上げた黒髪がスポーツマンという印象を受ける。 レノンと呼ばれた少年は紅葉の近くまで歩み寄ると話し始める。 「明日の演習でオレと組まないか?」 「断ると言ったら?」 「了解してくれるまでお前をストーキングする」 「お前なぁ」 「ってのは冗談だ、それでオレと組んでくれるか?」 「まあ、別にいいぜ」 「さっすが紅葉♪」 レノンは嬉しそうに笑うと紅葉の頭に手をおいて撫でた。 身長の高いレノンには身長差のある紅葉の頭がちょうど撫でやすい位置にあるのだろう ことあるごとに紅葉の頭を撫で回すクセがある。 最初は抵抗していた紅葉だが、いくら言っても相手にされないので既に諦めている。 、
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