獅子ノ哭ク頃二

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雄叫びを上げろ 獅子の如く豪快に 夜空に吠えろ 蛇の如く艷やかに なほ華麗に、なほ殘酷に 歌ひ、舞ふ こんこずと心の奧より沸き出づる劣情に溺れながら、其の身體は次第に渇ゐていく 此の眼に映る貴女は春宵に浮かぶ月の如く美しきを、醜いと自分を卑下す ならば此の刄で其の胸を貫き、私の想ひを傳へむ 貴女の心に屆くやうに 貴女の渇きが癒えるやうに 深く、愛の言葉を傳へむ だからどうか、泣かざりて また何處かで會へたならば 其の時は、きつと―― 「…暑…」  
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