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チャイムが鳴るまであと2分。 耐え切れなくなった友人が、放送室に駆け込んできた。 あ、スイッチON。 ドンっと背中を叩いて出ていった。 もう一人の友人の手を引っ張り放送室から離れて行く。 気を遣わせてしまった。 ………いやいやいや まずこの罰ゲームを提案したのはあいつなんだから、そのぐらいの配慮はしてもらわないと困る。 目の前のマイク。 小さく「あ」と呟いた。 すると放送室に聞こえるか聞こえないかぐらいの声が響いた。 やっぱ、意地だよね。 今だにスピードを緩めない心臓が、その意地を崩そうとする。 今だ、今だ… タイミングを探す。 チャイムが鳴るまであと40秒。 チャイムが鳴るまであと25秒 あーっ!!もう!!! 「3-C組、田中絵里さん! 3-C組の本井文弥は田中絵里さんのことを愛慕しています。 良ければ付き合って下さい」 キーンコーンカーンコーン なんともタイミングのいいチャイム。 すぐにスイッチOFF。 難しい言葉を使って恥ずかしさを紛らわした。 心臓は次第に落ち着きを取り戻す。 あー、やってしまった。 友人ははしゃぎながら放送室へ来て、頭を掻き撫でた。 スイッチを切った瞬間聞こえた、色んなクラスの女子の黄色い声。
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