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開けた先は何もない場所だった。
「ようこそいらっしゃいました如月龍也殿」
そこの中心に道化師のような格好の男がいた。
「誰だいアンタは?」
「私の名は妖仙(ようせん)安心してください貴方の味方ですよ」
「......」
ニコリと笑う妖仙に対して俺は構える。
「ふぅ、まあ信用しろというのが無理もありますね。ですがいくら如月流武術の二代目とは武力に訴えるのはどうかと思いますがね」
そこまで言われて俺も警戒を解く。
「妖仙といったか?」
「はい」
「質問がいくつかある」
「なんなりと」
聞いたことはこの状況について、あの黒い生物について、あの不思議な場所にいた彼女について、俺が置かれた状況について。
俺の質問に妖仙は一つ一つ答えてくれた。
「一つ目ですが貴方はあの黒い生物『森羅』に喰われかけました、森羅とは簡単に言うと私達の敵の使い魔です、それもかなり上位の」
良かったあれが最下層だとしたら絶望的だったところだ。
「ですがギリギリでこの世界に貴方を引きずり込むことで助かりました」
つまり俺は生きている?
「因みにこの世界は貴方の深層心理の一部を借りています」
暗くね?俺の深層心理真っ暗くね?
「で、状況とかはわかったがお前は俺になんの用事があるんだ?」
これが一番重要なことだ。
「なに、簡単なことですよ」
そう言って道化の男は微笑む。
「貴方には導き手となっていただきたい」
「導くって誰をだよ?」
「この物語の主人役となる人物とその仲間達のですよ」
主人役か...ははは、俺は脇役ってか。
「...面白ぇ」
いいね~、脇役。
嫌われ者の俺にはぴったりだ。
「あなたならそうおっしゃると思っていました、では私は貴方達のサポート役をやらせていただきます」
「わかった、頼んだぜ」
ここから先は世界の心理
半端な覚悟では乗りきれない。
「やってやるぜ」
静かに決意を固めて俺は元の世界に戻った。
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