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フォレスター。
ここは緑美しい自然に囲まれた街である。
とても街の雰囲気がオレ好みで、この街に住めたらいいなとずうっと思っていた。
実は最近まとまった金を手に入れたので、思い切って小さな部屋を借りてみたのだ。
朝の澄んだ空気を胸いっぱいに吸い込んで、オレはぼぅっと窓の外を眺めていた。
遠くで鳥のさえずりが聞こえる。
4階建てのレンガ作りの家で、緑茂る街の雰囲気によく合う造りをしている。
カタン。
不意にテーブルの方で音がした。
オレはこんな気持ちのいい朝に水をさす、その音の方へ振り向いた。
「!?」
そこにあるのは木で出来たテーブルだ。その上にある一輪挿しの黄色い花に、
あろうことか冷めたコーヒーを注いでいるフィーラが!
花の間から黒い水をかぶって、きらきら光る妖精が迷惑そうに飛び立っていった。
オレはその光の機軸に目を奪われ、思わず犯人と一緒にながめてしまった。
花の妖精はオレにはよく見えない。ただ見つけた奴がいうには、それはとても可愛らしい姿をしているそうだ。
だけどオレに見えるのはエネルギーの結晶によって出来る、光る塊だけである。
…って
「フィーラ!!」
オレは犯人を名指しした!
フィーラ。彼女はこの街に来て知り合った猫又だ。
紅色のボブの頭髪に、うすい体毛の生えた桃色の肌。そして顔の横にはとんがった耳。
彼女は世界でもめずらしく人間寄りの猫又種で、思考も体つきも人間に近い。
そして長身で胸もでかい。くぅっ。
オレは思い余ってそいつの胸に下がってるチチをどりぶるするっ。ぷにぷに。
「おまえ何てことを何てことを~!」
「うにゃー!?ばかばか!!」
フィーラは必死にオレを引き剥がしにくる。
何故かオレの方が怒っているのにオレの方がののしられているのは由々しき事態である~!
「せっかく見つけてくれた妖精さんに謝れ」
そいつを拾ってきた水色の頭の某君を思い浮かべつつ、びしっと指を突き立てるオレ。
「なんでよぉ。私は花が枯れかかっていたからお水をあげたんじゃない。ちゃんとお世話してあげなさい。」
「水をやれ水をー!」
非常識なそいつの行動に思わず声を上げてしまう。
なんだか、朝から疲れるわぁ…。
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