ここから物語ははじまった

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ギルドに着くと、早速掲示板を確認する。 俺達のギルドランクはD。 主にダンジョンなどからアイテムを入手してくるようなクエストがメインに回ってくるランクだ。 ある程度の強さならモンスターの討伐クエストなんかも回ってくることもある。もちろん、アイテム入手よりモンスター討伐の方が割は良い。もちろん危険度も上がるけどな。 「今日は討伐は無いな」 「だね。今日はアイテム入手で行こうよ。ピクニックがてらミュラー山あたりにね」 そう言って、ユミナは一枚のクエスト用紙を受付に持って行く。 内容はミュラー山の火口付近に生えている【ミュラーハーブ】を五束入手してくるクエスト。 要注意モンスターも大したヤツが居ないみたいだし、文字通りのピクニック感覚でミュラー山に向かう。 「行ってらっしゃいロン、ユミィ」 「はい、行ってきますリュウさん」 「行ってきまっす!」 ユミナの元気な声がギルドに響き渡り、またマシィルの嬢ちゃんの声だなと言った風な暖かい目でギルドのみんなに見送られ、俺達はミュラー山に向かう。 「ユウカちゃん、早く良くなると良いよね」 「あぁ、そうだな。俺がもっと強かったら……」 このミュラーハーブを取りに行くクエストは大体俺達が受ける。 依頼主のランティスさんの所の一人娘のユウカちゃんは不治の病に冒されている。 魔族がユウカちゃんに呪いを掛けて行き、その呪いの毒で命の危険に晒されている。 その毒を治すまで行かないが、ミュラーハーブにはある程度中和する力がある。それを取りに行くクエストは俺達が受けると言った暗黙の了解がある。 「さぁ、元気に行ってみよう!」 「今からそんなんじゃ頂上まで保たないぞ?」 「大丈夫だよ。いざとなったらお兄ちゃんがなんとかしてくれるでしょ?」 「まぁ、そうだが……」 ユミナの無邪気な笑顔を見ていると、まぁ良いかなと思えてくるから不思議である。 俺達は眼前にそびえ立つミュラー山を見上げて、今日はアレが見れるだろうかと楽しみにしていた。 「それは本当か!?」 「はい、本部から【ミュラー山にて魔族の不穏な動きがある。警戒せよ】と報告が」 「マズいぞ、ロンとユミィが向かったばかりじゃないか!?」 ギルドのメンバーが慌ただしく動き始める。ロンドとユミナの保護のために。 そして、悲劇の足音はすぐそこまで来ていた……
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