狂った

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「前一つと後ろ二つ、席空いてるね。僕は二人の邪魔しないように前に行くね。」 「あ、わりぃなヨンベ」 ヨンベが気をつかってくれて、兄さんと隣にしてくれた。なんか申し訳ないけど、ここは甘えとこう! 「ありがとヨンベ」 「ううん。あんまイチャイチャしないでねー。」 「なっ!!」 ニヤニヤしながら前の席に座ったヨンベ。俺たちの席と結構離れてるから、余計申し訳ないけど… 「やっと2人きりだな」 「兄さん、バスの中なんだから変なことしないでよ」 「なに?期待してんの?」 「ばーか」 兄さんと2人きりは俺も嬉しいから、感謝感謝! 2人で小声で話して、目で話して。まるで内緒話してるみたい。周りにバレないようにキスしたり、手も繋いで、すごい心がいっぱいになった。 「兄さん、景色が変わってきたね!」 「ああ。山にはいってきたな」 「すごいすごい!木がいっぱいだね!」 「小学生か(笑)」 繋いだ手をブンブン振って窓を見つめる。兄さんも笑顔だから余計楽しくなってきた!もうすぐ着くかな? ガタンッ 「え!?」 「っ!! ジヨン!!」 「あ!ヨンベー!!」 いきなりの浮遊感。兄さんが俺を強く抱きしめた。開いた窓からヨンベが飛び出て俺の視界から消えた。体が傾く。乗客の悲鳴。割れる窓ガラス。 落 ち て る ? 俺はパニックと衝撃で頭を打って、意識を失った。 最後に見たのは、俺を必死に抱きしめる兄さん。手はまだ兄さんと繋いだままだった。  
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