きつねとぶどう

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あるところにきつねがおりました。 その日は暖かい日でしたが、魚をとるのがへたなきつねはお昼を過ぎてもお腹がぺこぺこでした。 きつねがうつむいて歩いていると、いい匂いがしてきました。 これはきっとぶどうの匂いです。 見上げると、頭上には美味しそうなぶどうが光っています。 きつねは前足を伸ばしてみましたが、届きません。 えいやっとジャンプしてみましたが、やっぱり届きません。 ぶどうはいい匂いを漂わせて、うふふ、あははときつねを笑うように風に揺れています。 きつねは一言呟きました。 「あのぶどうはすっぱいんだ。」 このお話はフロイトの防衛規制における「合理化」の代表例としても知られています。 人間は合理的な生き物でしょうか。合理化は自分の心を防衛できますが、私達は常に合理化はしません。 人間とは、非常に不可解で不条理で、しかし不完全ながらもなかなか上手く生きていく面白い生き物だと思います。 高いところにぶどうがあって、その下にあなたと私がいたら、きっと肩車をしてみることでしょう。
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