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俺は、孤児院の火災に巻き込まれて病院に運び込まれ、三日間昏睡状態だった。
昏睡から目が覚めて医療関係者が出入りする中、俺の元に来たのは知らない男だった。状況が把握できないでいる俺をよそに話を始めた。
「怪我は大丈夫かな?私はジョン、この周辺の孤児院を管轄している役所の人間だ。回復して間もない君に悲しい話をしなくてはならないが、君の育った孤児院は…気が狂った男に火をつけられて孤児院は無くなったんだ」
「孤児院が…無くなった?ねぇ、孤児院の皆はどうなったの?親父みたいに叱ってくれたトムおじさんは?ご飯を作ってくれたバーバラおばさんは?怒ると怖いけど優しいアニー姉ちゃんは?よくお菓子の取りあいしていたミッキーは?おもちゃ取られてよく泣いてたディッパは?他にもケヴィンやアンナや…」
孤児院の皆の安否を聞こうと矢継ぎ早に喋ろうとするが、無意識に何かを予感していたのだろう、声は詰まり涙が勝手に流れ出して止まらない。
〔ジョン〕と名乗った男は、俺の両肩をガシッと掴んで落ち着かせようとする。
「落ち着きなさい、落ち着くんだ!残念だが、君含む数人以外の職員や子供達は、皆、火に巻かれて…」
俺は、ジョンのその一言に全身の力が一気に抜けた…。
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