第一章 子供から青年へ

2/4
前へ
/96ページ
次へ
施設を飛び出して何が出来るか?子供が出来る事はたかが知れている。 それでも、あの施設よりはマシだ。俺は、その日からストリートを生きる場にし始めた。 初めは…酔っ払いの財布を盗んだり、子供の容姿を逆手にスリの掏った財布を掏って横取りしたり、生きていく為には何でもした。 始めの頃は、縄張り荒らしと見られて暴行も受けた。だが、持ち前の運動能力と度胸の良さで殴ってきた連中を返り討ちにいた。 それ以降、暫く何もしてこなかった。それどころか、連中が仲間になりたいと声をかけてきたのだ。 話を聞いてみると、親に捨てられて家を出た奴・施設から養父母に引き取られたが虐待を受けた奴など、形は違えど俺と似た境遇の連中ばかりだった。 腹を割って話している内に、お互い仲良くなっていき…いつの間にか、仲間というより兄弟みたいな感覚になっていった。それは向こうも同じだったようで、俺の事を兄貴と慕ってくれるようになり、それと同時に俺がリーダー的存在になったようだ。
/96ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加