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「そっか。それなら良かった。ところで杉下、話は変わるんだけど、"学園都市"って知ってる?」
小野田が顎に手を当てながら言った。
「ええ、もちろん。東京西部に位置し、東京都のほかに神奈川県や埼玉県、山梨県に跨る円形の都市の総称です。総人口は約230万人の8割を、学生が占めているという巨大都市のことでしょう?この都市では超能力が普通に存在していて、学生はそれを学習するのだ、とまでしか、僕は聞いたことはありませんが」
杉下が苦笑する。
「それだけ知ってれば充分。で、杉下。そんなお前を見込んで、頼みがあるんだけれど」
小野田が含みのある微笑を浮かべる。小野田が杉下と話すときによく浮かべる表情である。
「はい?」
杉下の、いつもの裏返った返事が飛んだ。
「その学園都市で、お前に調べて欲しいことがあるんだけど。協力してくれないかしら」
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