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小野田官房長の話を聞いた右京は、特命係の籍が置かれている部屋に戻っていた。
ティーポットから高く上げ下げしてカップに紅茶を注ぐ。
この入れ方が、右京独特の紅茶の注ぎ方である。
「よっ、暇か?暇なんだろ?」
いつものチョッキと黒ぶち眼鏡。警視庁組織犯罪対策部組織犯罪対策5課の角田六郎課長である。
組織犯罪対策課は主に銃や麻薬関連の犯罪を主に扱う部署で、特命係とは隣部屋なのだ。
珈琲を飲みに来た角田のほうが明らかに暇そうだが、彼の何気ない言動や行動が、特命係に事件のヒントを与えることも過去に多々あったのである。
「いーねぇ…、特命はいつも暇そーで…」
はぁあと溜め息を混じえながら、マグカップに珈琲を注いでいる。
「これは、角田課長。しかしお言葉ながら、暇ではないのですよ」
椅子に座りながら紅茶を一口飲んで、右京が言った。
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