1人が本棚に入れています
本棚に追加
宮原は知っていた。犬丸が走っている姿をたまたまひとりで帰ったときに見かけたのだ。
「ほんと、犬丸って奴、この学校をなめているよね。」
「えっ、あ、うん。」
歯切れわるそうに宮原ば答えた。
「ま、そんなことより、これからスムーズに帰れるから嬉しいね。」
山村は微笑みながら言った。そして、彩花に顔を向けて、話を続ける。
「今までは授業が終わった後、彩花に告白する人が後を絶たなくてこの1ヶ月大変だったじゃん?でも、もう終わり!だって、あの、生徒会長の雨宮くんが直々に告白したからね。」
「……。」
宮原は何も言えなかった。確かに生徒会長である雨宮龍一(アマミヤリュウイチ)に告白されたが、告白に対する返事をしていない。
雨宮は男女共に人気が高い。スポーツ万能、成績優秀、おまけにお金持ちの子である。葛生校生徒の憧れの的である。
だから、自然に宮原が返事をしなくても、雨宮と宮原は付き合うことになった。みんなは生徒会長からの告白を断る訳がないと思っていたのである。
最初のコメントを投稿しよう!