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その光景を見ていた堂山さんがゆっくりと溜め息を吐く。
『私が何も考えずに君達にこんな事を話していると思うかい?』
『えっ………?』
俺はその言葉に少し違和感を感じた。
『確かに、この車は光一から借りてきた物だ。だが…、私は別に光一のさしがねでここに君達を迎えに来た訳じゃない。私の意志で…君達に会いに来たんだよ。その意味が分かるかい?』
そう言われ自然と俺達も考え込む。
わざわざ彼が俺達に関わってきた理由は……?
『もう…、光一は……限界なんだ。あの子は…少し…いや、かなりねじ曲がった道に迷い込み過ぎたみたいだ』
『それはどういう意味ですか…?』
俺の心臓の音が少しずつ速くなっていくのを感じる。
『冗談のつもりで、もう竜くんは諦めた方がいいと言ったんだ。彼には、他に大切な人達がもう傍にいるんだと。そしたら光一は…、
銃を私に突き付けてこう言ったんだ。
゙竜が、俺の傍を離れるはずがない…゙とね……』
そう言い、苦笑い…いや苦しそうに堂山さんは笑った。
とても…、とても苦しそうに。
『こんな事は親が止めるべき事なのかもしれない。だが…、私は光一を止める事が出来ない。いや、もうこれ以上あの子を苦しめたくないと親馬鹿な愛がそう思ってしまっているんだ。だから、これは君達の意志に関係なく………、竜くん。君には光一の所に来てもらうよ。じゃないと光一は………、きっと君達を………
殺してしまう…。憎しみと嫉妬に任せて………ね…』
その言葉に足元か真っ暗になっていくのを感じた………。
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