変わらぬモノと変わりゆく者

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夏休みと言われ、あの時が何故か遠い過去のように感じた。 あの時と言ってもまだ半年も経っていない夏休み。 俺達は…まだ付き合っていなかった。 あの時はお互い、いろいろと悩んでいた気もするが、そう考えればなんとなく懐かしい遠い記憶のような錯覚に陥る。 あんなに隼人の事で、悩んでいた時期が無償に恋しい。 あの時は、あの時で悔やんだり、悲しんだり、苦しんだりしたが…今ほど切なくはなかった気がする。 だっていつだって隼人は傍にいてくれたから…。 そう思うと、また胸が少し苦しくてその意味が分かるようで分かりたくない俺は…人目が多少はあるにも関わらず、隼人の手をそっと握った。 握った瞬間に少しだけビクリとしていたが、俺の手だと分かるとしっかりと握り締めてくれた。 それがなんとなく恥ずかしくて、それでいて嬉しくて、俺達は何も話さずにコンビニ近くまで手を繋いだまま向かい、家に帰る時も今度は隼人の方から手を差し出してくれた。 さっきの胸の痛みが、きっとこんな幸せがまた壊れてしまうんじゃないかと思ったなんて… 決して表情には出せなかった…………
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