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ゆっくりと身体を離し、竜の隣に座り込む。
いつもなら、ツンと跳ね飛ばすはずの竜が優しいからそれがくすぐったくて、不安になる。
幸せと不安はいつも隣合わせで、気付いた時にはどちらかに裏返る。
幼稚な言葉の駆け引きでも、繋がっていたいと思うんだ。
後数日で終わってしまう今年に、お前は何を思うのかな?
後数日で迎える新しい年に、お前は誰の事を思うのかな?
大人になったつもりでも、やっぱりまだ子供なんだ。
それでも、もうお前を泣かさないと誓ったから、強がるフリして傍にいさせて?
気付いていても聞かないで。
分かっていても笑ってよ。
この不安が消えたなら、また幸せが回ってくると信じているから………。
そんな不安を煽るのは、やっぱりお前の横顔で………
気付いた時には、ケータイを見つめながら微かに竜が奮えてた。
その表示される画面を見て、ため息と共に何か自分の中の黒い塊も少し出てしまった気がするんだ…
向き合うと決めた覚悟と立ち向かうと決めた意思。
二つは常に持っていても、やはり子供は大人になれない。
まだ不安は消えないままに、俺はその鳴り続けるケータイの通信ボタンを押した………。
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