変わらぬモノと変わりゆく者

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『…分かりました。忘れてなければ伝えておきます』 ゙あれ、なんか意外にあっさりだね゙ 『いつまでもこんな言い合いしてたって竜のためになりませんから』 ゙ふーん…、なんか大人だね君。想像してた感じと違うから拍子抜けしだ 『期待にそえなくてすいませんね』 ゙まぁ、別に予想外って案外面白かったりする時もあるよね゙ 『……………………』 俺が予想外なら堂山さんは範囲外だろ。 会った時の初めの印象は真面目な人みたいな感じがした。 その面影は電話でも時折見える。 でも、この大人の彼が無邪気に振る舞う理由が分からない。 子供のように口喧嘩をさせようとするのに、仕掛けてきておきながらスルリとかわしてまたもとに戻る。 二重人格…とまではいかないが、電話の話し方から誰か二人を相手に話しているみたいだ。 仮面をかぶっているのは、大人の彼かもしくは子供の彼か……… ゙あっ、なら君も来なよ゙ 『…は、い?』 ゙だから君も竜と一緒にクリスマスイヴに迎えに行ってあげるよ゙ その声はどこか面白い事を見つけた子供の嬉しそうな声のようで、断ってはいけない重圧を含んだ大人の黒い笑みの誘いのような気がした…。 ゙多分、竜に聞いたら俺の言った意味が分かるだろうから。それじゃあイヴにね、二人とも……゙ その言葉とクスリと笑う声を残して彼の声は機械音へと変わっていた………。
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