800人が本棚に入れています
本棚に追加
/226ページ
考えれば、考えるほど分からない。
ただ、これから行くということはどう転んでも危険しかないということだ。
『俺が隼人を守らないと………』
巻き込んだのは、俺。
過ちを犯したのも、俺。
きっと何か起きる。
それを俺は隼人に被害を加えられる前に終わらせる。
『すべてを終わらせるんだ………』
そんな事を考えていると、ポケットに入れていた携帯が鳴り出す。
開いてみると隼人からで、家の前にいるとの事だった。
俺は必要なものをポケットに入れ、家を出る。
門に向かえば、入口に立つ見慣れた髪型の後ろ姿があった。
しかし、いつもと服装が違う事に違和感を感じる。
門を開け、外に出れば…普段見慣れない黒のジャケットを着ている隼人がそこにいた。
その格好に胸が一瞬、ドキッとする。
『あぁ、竜。良かった、すぐに出て来てくれて』
『あっ、あぁ…。ってかお前、その服どうしたんだよ?』
『あぁ、これか?これは昨日堂山さんから俺宛てに送られてきたもんだよ。今日着て来るようにっていう手紙付きでな』
そういうと似合うかとでも言いたそうに一回転してみせる隼人。
そういう所はまだ子供だなど全然似合わねぇ゙と苦笑しながら言ってやった。
『なんだよ、竜のために着てきたようなもんなんだぞ?』
『はいはい、さんきゅ』
『軽いよ、竜ちゃん』
『キモいよ、お前』
そんなやり取りをしていたらいつの間にか肩から無駄な力が抜けていた。
多分、隼人は気付いていたのだろう。
俺が緊張してる事くらい。
『あの人、ここに来んの?』
『あぁ、迎えに来ると言ってたから』
そんな会話をしながら待っていると聞き慣れたスポーツカーの音が少しずつ近付いて来た…。
最初のコメントを投稿しよう!