変わらぬモノと変わりゆく者

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入り口でいろんな人に囲まれている光一さんは笑顔だが、綺麗な作り笑いばかりをしている。 それを遠目に見ながらも、俺は目の前の隼人に向き直る。 『多分、今はまだ落ち着いて話せないだろうから、せっかくだし滅多に来れないパーティーでも楽しむか?』 『まぁ美味そうなもん目にしてお預けってのもなぁ~』 『酒はやめろよ』 『分かってる』 『…女もだからな?』 『あら、バレた?』 『もうお前なんて知らねぇ』 『ちょっ!待って竜ちゃん!』 冗談で言った事を冗談で返してくるこいつは相当タチが悪い。 聞いた俺が馬鹿なんだろうが、あそこでまともに返すこいつも馬鹿だ。 座っている隼人を置いてメニューが並ぶテーブルへと向かう。 後ろから慌てた様子で゙俺の1番は竜だから゙と囁くこいつが憎たらしい。 それをまともに受け取って反撃出来ない俺もまた恥ずかしくて歩く速さを早めた。 『竜、これ何?』 『キャビアとサーモンのマリネ』 『じゃあこれは?』 『フォアグラ…ってお前食べれんのかよ』 『いいじゃん、いいじゃん。とりあえず食っとけって話だろ?』 『どんな話だよ』 『あっ、これも美味そう』 『そんなに皿に盛るな。デザートは後にしろ。とりあえずメインから…』 とりあえず目についたものを皿にのせていく隼人の手を止める。 すると何故かニヤニヤした表情をし、俺の耳にそっと囁く。 『なんか竜、俺の奥さんみたいだな』 そう言って、嬉しそうに皿を片手に先程いた席に戻って行くあいつは確実に確信犯だと思う。 とりあえず赤くなった耳を髪で隠し、サラダなどを軽く取って隼人の後を追った。
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