変わらぬモノと変わりゆく者

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『お前、そんなに食べたら腹壊すぞ』 『大丈夫、後で運動するから』 『運動…?』 その言葉に疑問を抱き隼人を見ると、今までとは違い周りを窺いつつこちらに近付くと耳元でそっと囁く。 『竜から見えない死角に見張りが二人に増えた。俺の後ろにも一人黒いスーツの奴がいるの分かるだろ?』 そう言われさっと隼人の後ろを見ると、明らかにボディーガードのような黒スーツの男が回りを見渡しつつもこちらを見張っていた。 俺は不審に思われないようにいつも通り平然を装い、一旦席を立ち、メニューが並ぶテーブルへと向かう。 メニューを少し選ぶフリをしながら隼人が先程言っていた俺の後ろの辺りを見てみると、ドア付近に先程までいなかったボディーガードが隠す様子もなく俺を監視していた。 明らかに目が合い、少し舌打ちをしてしまう。 すでに逃げ道はないわけね…… 楽しそうに来ている客と会話をする光一さんの横顔を一度だけ睨みつけて、隼人の待つ席に戻る。 料理なんて適当に選び過ぎて、気付いてみればやはりまたサラダばかりが皿にのっていた。 『な?いただろ怪しい二人組』 『あぁ、見張りだと隠す様子もないなあれは』 『だよな。…んじゃあそろそろパーティータイムは終わりとしますか』 そう言うと、両手を上に上げ伸びをする隼人。 ポキポキと肩や指の関節を鳴らし、久しぶりに喧嘩モードに入っている。 俺はとりあえず辺りを見渡し、堂山さんと光一さんの場所を把握する。
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