変わらぬモノと変わりゆく者

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この状況でそんな話をするかと疑問に思うが、そこが隼人だと苦笑を含んだ溜め息が出た。 『俺はいつでも喧嘩出来んだよ』 『いやいや、竜ちゃんの手に傷付いたら俺泣くから』 『お前はそんなやわな奴に今まで自分の背中預けてたのか?』 『強いから…、傷付いて欲しくない時だってあんの』 『俺は男だ』 『好きな人を守るのが彼氏の役目っしょ?』 『俺は彼女じゃねぇ』 『知ってる。でも、守ってあげたい俺の大切な彼氏さんに変わりはないにゃん』 そう言ってふざけたように猫の真似をするこいつは…どこかで成長したのかなと思った。 昔ならただ感情だけ、自分が赴くがままに行動していたのに、今はどこかで引く事を覚えた。 『なら、俺にも守らせろよ。大切な人くらいは』 『竜……』 『これが片付いたらさ、久しぶりに喧嘩するぞ、隼人』 『なんでそうなんの?』 『どっちが彼氏に相応しいか決めんだよ』 『いやいや、そりゃあ俺っしょ。俺が明らかタチだし』 『それを言うならお前をネコにしてやるよ』 『無理無理無理無理っ!俺にはタチな竜は想像出来ねぇ!』 『優しく抱いてやるよ、隼人』 そんなやり取りをしている間に光一さんの部屋に着く。 本当ならこんな軽い雰囲気では決して入れない場所だが、隣の隼人を見上げればニヤリと笑う目と合った。 『何もかもケリついたら…、好きなだけヤり合おうぜ』 『お前が言うと、変態に聞こえんだよ』 『もちろん、変態な意味だけど?』 震えそうになる手に力を入れ、隣に感じる温もりを離さぬように俺はゆっくりと光一さんの部屋へと足を踏み入れた…。
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