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隣に座る竜を窺うが、下を向いたまま固まっている。
その横顔があまりにも儚くて、またあの時のように失ってしまうんじゃないかと思ってしまう。
自分が弱気ではあの日から何も成長出来てない事になるのは分かってる。
分かっているのに、自分の世界の狭さを思い知らされる。
そんなにも、大切な人といることは難しい事なんだろうか。
大切な人を守りたくて、傍にいて欲しくて学校の頭はって強くなってきた。
それだけじゃ駄目なんだと気付いた時もあったし、別れて気付いた事も沢山あった。
なのに、何故まだ自分は誰からも邪魔されずに竜と二人でいられないのだろう。
学生だから?男同士だから?俺が弱いから?彼が金持ちだから?
ただ好きだけじゃ守れない恋はきっとこれが最初で最後。
人生にたった一度だけ…。
それでもそれに賭けたいと思うのは、相手が男とか金持ちとか関係なく、竜が竜だったから。
自分だけじゃどうしようも出来ないなら、二人で解決すればいい。
二人で解決出来ないなら仲間に相談すればいい。
竜が隣で笑ってくれるなら………
『もし竜がカナダに行くなら、俺もカナダに行く。お前らの好きにはさせない』
後には戻れない賭けでも、人生すべて賭けても手に入れたいと願うなら、もう今すべてを手放す覚悟は出来てる。
『俺はもう竜を手放すつもりはない。たとえ竜が俺を嫌っても、必ず何度でも振り向かせると約束したから』
未だに離せないこの手の温もりを今もまだ求めていてもいいですか?
そう願ったら、手を強く握り返された気がした。
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