祈りの愛に結末を

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~竜~ 部屋の中は静寂のまま。 光一さんはどこか遠くを眺めている。 俺達を交互に見渡した後、何事も言わず表情も変えずただ時が経つのを待っているかのようで。 いつかの彼の面影を思い出した。 小さい頃に感じた、孤独に一人で立ち向かう彼の儚い横顔を。 隼人も言いたい事は言い切った様子で、俺の手を握り締めながらただ光一さんが話し出すのを待っていた。 時計が時を刻む音だけが部屋に響く。 どれくらいそうしていただろう。 数分、いやもしかしたら数秒だったのかもしれない。 光一さんがゆっくりとまたこちらを向き、何故か綺麗に笑っていた。 『竜は、やっぱり強いね。今も昔も。変わらずに…強くなったんだね』 『光一さん……』 『今、俺の中にあるこの黒い感情は一体いつから当たり前にあるようになってしまったんだろうね。こんなに落ち着いているはずなのに、今すぐにでも銃さえあれば矢吹君を撃ち殺したい気分なんだ』 『……………………』 『軽蔑した?蔑んだ?恐くなった?嫌いになった?…もう竜に愛してもらえないならそんな感情でもいいから竜の中にいたい。俺の存在がどんな形であれ、これから先、一生消えなければいいと思うのは、…おかしい事かい?』 そう言って楽しそうに笑う光一さんに涙が出そうになった。 きっと今の彼ならそれくらい造作もないとその笑顔が物語っていて、それでいて残酷で…… 『光一さん、貴方は今、本当に俺を見てくれていますか…?』 分からないんです。 貴方が何を俺に求めているのか。
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