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『俺は貴方が好きでした。いつもどんな時でも味方でいてくれた貴方が。都合のいい言い訳に聞こえるかもしれない。でも、俺は光一さん、貴方が好きでした。あの夜も…、本当は離れたくなかった』
『竜…』
『貴方が俺を想ってくれてたように、俺も…ずっと貴方を想ってた。歪んだ感情だなと今なら分かる。それでも傍にいて欲しいと願った事に…俺は今でも後悔していません。そして、今。俺はもう貴方を好きだった俺じゃなくなった。…もう止めましょ、光一さん。貴方も本当は気付いてたんでしょ?…もう俺は振り向かないって』
最後に…、本当にこれが最後だと思って俺は…光一さんに笑い掛けた。
『似た者同士は理解し合えても、愛し合う事は出来ないって…。貴方が昔、俺に言ったじゃないですか……』
無理に笑った顔に涙が落ちていく。
『光一さんを心から好きだった俺を…消したくないん…です…。貴方が本当に笑ってくれた笑顔を覚えていたいんです…。だって、俺の初恋は間違いなく、光一さん…、貴方だったから……』
涙する俺に光一さんが切なそうに手を伸ばした。
だけど、それが俺に届く事はなかった。
寸前で止められた手。
ふと光一さんの顔を見れば…
とても悔しそうに泣いていた。
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