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~竜~
『今日はわざわざ息子まで呼んでくれてありがとうな』
『いやいや、無理を言ってすまなかった。息子が会いたい会いたいと言って聞かなくてな…。
本当に久しぶりだね、竜くん。
私の事はもう、忘れてしまったかな?』
『いえ…、お久しぶりです。堂山さん…』
俺が親父に連れて来られた場所。
それは昔、よく来ていた堂山さんの家だった。
『光一が帰って来るなり、竜くんに会いたいと煩くてな。無理を頼んですまなかったね』
『いえ、全然………』
堂山さんは俺に本当にすまなさそうに少し苦笑いをした。
多分、俺がこういう場所に顔をだすのが嫌いなのを知っているからだろう。
『光一なんだが、多分今は自分の部屋にいるだろうから会いに行ってやってくれないか?
部屋の場所は覚えているかな?』
『はい、大丈夫です。それじゃあ失礼します』
俺は軽く挨拶をして、広間から出て行った。
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