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広間から出てみれば、廊下はとても静かだった。
それに少しため息がこぼれる。
堂山さんは昔と変わらない優しい人だった。
俺が唯一昔、警察関係者で心を開けた人だった。
昔と変わってしまった俺に、何も言わずにあぁやって話し掛けてくれるのは、多分堂山さんしかいないだろう。
それが少し、嬉しくもあった。
見た目だけで判断しない堂山さんは俺の中で信頼出来る数少ない大人だったから…
『確か2階だったよな………』
昔の記憶を頼りに、ゆっくりと階段を上っていく。
最後にここに来たのは、確かあの人がアメリカに旅立つ時…。
『もうあれから三年も経つのか…』
そんな事を思い出しながら、ふとあの人の事を思い出す。
うっすらとしか覚えていない外見。
うっすらとしか覚えていない声………
『こんな俺を見て、あっちも俺が誰が分かるのか…?』
あの人も昔と変わっているだろう。
だけど、俺は見た目が変わりすぎた気もする。
三年前にあった時はまだ中学だった俺。
まだ少しだけ親父の言うことを聞いていた時期。
『まぁ、分からなかった時はその時か………』
そう思い、あの人の部屋を目指した。
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