16人が本棚に入れています
本棚に追加
頭が真っ白になった。
私の体が急に震えだし、呼吸も荒くなる。
ゆっくり後ろを振り返ると、そこには仁王立ちした悪魔の化身がいた。
その後ろには腹部から血を流した老婆が倒れている。
その老婆の顔は、先ほど扉の隙間から見た、あの目をしていた。
男の手には赤色に染められた包丁。
「あれほど勝手に扉を開けるなって言ったのに…」
男はそう呟き、倒れている老婆の腹に蹴りを一発入れた。男の右爪先が真っ赤に染まる。
老婆は思いっきり血を吐いた。そしてゆっくり私の元に視線を向けた。
その目はまるで何かを私に訴えているようだった。
その時、私は全てを悟った…。
.
最初のコメントを投稿しよう!