26回目のバースデー

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宮野美歩は、駅の階段を降りていた。 階段は、傘の滴で濡れていて、美歩の10センチのヒールではいつ滑ってもおかしくなかった。 美歩は、手すりに捕まりながらゆっくり階段を降りていった。 「雨って、ついてないなぁ。あれ、いつもより人多いような気するなぁ・・」 美歩が改札の前に着いた時、改札は閉鎖されてたくさんの人が群がっていた。 「マジ~?また遅刻しちゃうよ・・」 美歩は、慌てて、雨で濡れた階段を上がりタクシー乗り場に向かった。 しかし、タクシー乗り場は長い行列が出来ていた。 霧谷は、窓の外のタクシー乗り場を見ながら、コーヒーをすすっていた。 「あ、可愛い子発見」 「あの子の足綺麗やな」 「スタイルはいいのに顔はいまいちやな」 と、女の子の品定めを始めた。 「あの子は風俗いきやな・・・」 「って、あかんあかん。昔の癖でつい・・社会人にもなって何してるんだか」 「はぁ・・・」 霧谷は、ふと、先程見た液晶画面の文字を思い出した。 「今日は、26才の誕生日か・・あの頃が懐かしいな」「あの頃に戻りたいな・・」 トゥルルルッ~♪トゥルルルッ~♪ 霧谷の携帯が鳴った。 霧谷は、携帯の画面に映っている名前を見て現実に戻った。 「はい、霧谷です」 「霧谷!何やってるんだ。今日は大事な会議やで!はよきぃや!」 電話先の相手は、非常に怒っていた。 「すいません。熱がひどくて、今日は無理そうです。近藤さん代わりにお願いします」 「なんやって?自己管理も出来ないやつは社会人として失格やで!もうええわ」 ブチッ 「クビかな・・」 霧谷は、仕事をサボったのだ。 外の雨は一段と激しくなっていた。
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