1人が本棚に入れています
本棚に追加
宮野美歩は、駅の階段を降りていた。
階段は、傘の滴で濡れていて、美歩の10センチのヒールではいつ滑ってもおかしくなかった。
美歩は、手すりに捕まりながらゆっくり階段を降りていった。
「雨って、ついてないなぁ。あれ、いつもより人多いような気するなぁ・・」
美歩が改札の前に着いた時、改札は閉鎖されてたくさんの人が群がっていた。
「マジ~?また遅刻しちゃうよ・・」
美歩は、慌てて、雨で濡れた階段を上がりタクシー乗り場に向かった。
しかし、タクシー乗り場は長い行列が出来ていた。
霧谷は、窓の外のタクシー乗り場を見ながら、コーヒーをすすっていた。
「あ、可愛い子発見」
「あの子の足綺麗やな」
「スタイルはいいのに顔はいまいちやな」
と、女の子の品定めを始めた。
「あの子は風俗いきやな・・・」
「って、あかんあかん。昔の癖でつい・・社会人にもなって何してるんだか」
「はぁ・・・」
霧谷は、ふと、先程見た液晶画面の文字を思い出した。
「今日は、26才の誕生日か・・あの頃が懐かしいな」「あの頃に戻りたいな・・」
トゥルルルッ~♪トゥルルルッ~♪
霧谷の携帯が鳴った。
霧谷は、携帯の画面に映っている名前を見て現実に戻った。
「はい、霧谷です」
「霧谷!何やってるんだ。今日は大事な会議やで!はよきぃや!」
電話先の相手は、非常に怒っていた。
「すいません。熱がひどくて、今日は無理そうです。近藤さん代わりにお願いします」
「なんやって?自己管理も出来ないやつは社会人として失格やで!もうええわ」
ブチッ
「クビかな・・」
霧谷は、仕事をサボったのだ。
外の雨は一段と激しくなっていた。
最初のコメントを投稿しよう!