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お店に入ると、黒服が出迎えてくれた。
「霧谷様、お待ちしておりました。どうぞ」
黒服は、店の奥にあるVIPルームに案内した。
VIPルームに入ると、7人の男女が待っていた。
「まさ、おせーよ!はよ、座れや」
「はい、グラス持ちーや」「・・・おう」
霧谷は、少し戸惑いながら、でも、最高の作り笑いで答えた。
一人の女性が、
「まさ、お誕生日おめでとう!!」と叫んだ。
続いて、
「おめでとっ」
「おめでとっ」
みんなが次々続いた。
「みんなありがとう!今年も絶好調で突き進むのでみんなよろしくっ」
霧谷は、最高の気分だった。
グラスに入ったシャンパンを一気に飲み干した。
霧谷は、優しい笑顔でこちらをみる女性と目があった。
女性は、グラスを少し上にあげた。
霧谷は、作り笑いではない満面の笑顔でグラスを上げ、返した。
「みほ・・・」
「すいません・・」
「ん?」
「ここに荷物一緒においていいですか?」
「・・・あ、うん」
「ありがとう」
霧谷は、何がなんだかわからなかったが答えた。
女性は不思議そうな顔をしたが、すぐに荷物を置いて、座ってコーヒーを飲みながら携帯をいじっている。
霧谷は、やっと我にかえって、
「あ~カフェにいたんや」と呟いた。
そして、「さっきのタクシー乗り場の女か」と心の中で呟いた。
霧谷は、冷めたコーヒーを一口飲んで、クロワッサンを食べた。
外の雨は、先程よりもまた激しくなっている。
タクシー乗り場はまだタクシーを待つお客で長い行列を作っている。
「まだ電車あかんのや。当分ここにいよう」と、呟いた。
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