26回目のバースデー

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「あ~なんでこうなるの・・・私が何したっていうの」 美歩は、心の中で叫んだ。 宮野美歩は、24才のOLである。 両親は、中堅の建築会社の経営をしていた。 美歩は、小学校から大学まで、お嬢様学校に通い、何不自由ない生活を送っていた。 美歩は、大学を卒業して、両親の反対を押しきり、就職した。 両親は、美歩に対して、今後一切の援助もしないと、半勘当のような扱いをした。 美歩は、それに反抗して家を出たのである。 しかし、世間知らずのお嬢様にとって、働いて稼ぐ事や一人で生活をする大変さはわからなかったのである。 案の定、就職していた会社も半年も続かず辞めてしまった。 辞めたと言うと聞こえは良いが、現実はクビである。 「明日からこなくていいよ」 と言われ、退職届けを出したのである。 そのあとは、仕事を転々としていた。 「・・・はぁ。大学時代が懐かしいな・・」 美歩は、携帯をいじりながら呟いた。 美歩の大学時代は、自由を謳歌していた。 実家のすぐ近くのマンションで一人暮らしをして、両親からの仕送りは充分なくらいもらった。 美歩は、金持ちとお酒が大好きということで、クラブホステスのバイトを始めた。 持ち前の明るさと容姿の美しさで、常にランキング上位に名を連ねていた。 両親からの仕送りとホステスのバイトで毎月使いきれないくらいのお金を稼いでいた。 そんな美歩からしたら、今の現実は信じたくないのだろう。 「・・・これからどうしよう・・・はぁ」 美歩は、携帯のアドレス帳の実家の電話番号を見ながら、ゆっくりとため息をついたのである。
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