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今度は頭痛と共にはっきりと頭の中に言葉が響く。
話しかけられるのとは別な内側から響くような声で。
「何なんだこれは?」
ツクモは、苦痛に耐えながら言葉を漏らす。
「あんた本当に大丈夫なの?なんなら今日のパーティー延期にしてもらう?」
舞に先程の堂々とした姿はなく、ツクモの様子を伺い、不安一色である。
「いや、違う。これは多分
……あいつが呼んでいる」
ツクモは、確信に満ちた顔で立ち上がった。だがその足取りは心許ない、余程頭が痛むようだ。
「あいつって誰?しかも体調悪いのにどこ行くって言うの?意味わかんないし」
ツクモは、舞にかまわず部屋を出て歩き始めた。まだ頭が痛むのか、右手を頭に添えたままだ。
「ちょい待ち。あんた一体どこ行くつもりよ?」
舞も、後を追うように部屋から出て、隣を歩く。肩を貸そうかどうかおどおどしていると。
……ズキンッ!!
『破滅の時が迫っている。我を求めよ』
「随分勝手な事を言うんだな。俺が求めても何も返さなかったヤツが……」
ツクモはそう言うと、頭痛が和らいだ隙をみて走り出す。
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