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「ちょっとちょっと一体あんたはどこ行くのよ~?」
舞は、質問に答えないツクモの後を追うように、走る事しかできなかった。
道場の前に着くと2人は、肩を上下させ大きく息をしていた。余程、全力で走ったのだろう。
「ハァハァ」
「ハァハァ。一体こんな夜の道場に誰がいるって言うのよ?」
軽く息を整えながら、舞がいい加減にしろと言わんばかりに、質問する。
「まだ絶対ではなぃ……が8割方合ってるだろう。俺に頭痛をもたらしムサシをこの世から消した犯人だ」
ツクモは叫びながら道場の扉をこじ開ける。
道場の古い扉が軋み、音を立てながら堂内へと導く。
そこには白々とまばゆい光を放つ、一本の刀が堂内の静かな暗闇を照らしていた。
まるで月明かりを集めて、照らすような光が2人を包む。
「やっぱりお前か。今日こそはムサシの所に案内してもらうぞ」
ツクモは一歩一歩、刀に歩み寄る。
「な、なんなのよ!?これ。犯人って人じゃないの?」
舞は完全に混乱している。その場に座り込み、刀を指差し口が開きっぱなしだ。
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