旅立ち

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『待っていたぞ。少年』 「えっ!?刀が喋った?」 舞は、更なる驚きで目を見開き、固まってしまう。 「ムサシはどこだ?お前の片割れと消えた俺の弟だ」 ツクモは、平然と刀に話かける。 『我は知らぬ』 「惚けるな。全て貴様らの企みだろう?」 『……我々は破滅を防ぎしもの。そして少年達は選ばれし者だ』 「ご託宣は良い。ムサシは無事なんだろうな?」 『雷神は健在だ。少年よ。我を抜くが良い』 そう言って刀の光は収まった。 「ツクモ!これは一体な、なんなのよ?」 暗闇に戻り、我に戻った舞が、ツクモに詰め寄る。 「俺にも良く分からない。ただこの刀とムサシの失踪は関係しているのは確かだ」 「はぁ?あんた正気?喋る刀なんて聞いた事ないわよ?」 舞の言う通りである。機械文明が発達した昨今、物が喋るのは珍しくはないが、普通の刀が、喋る技術などは、生まれていない。 「俺はムサシを探しに行く」 「ムサシがいるなら私も行くよ。アンタだけに任せておけないからね」 「勝手にすれば良い。ただ…… 帰れる保証はないぞ」 ツクモは、言い終わると視線を刀に戻し、右手に持った。 そして、真っ白な鞘からその刀を、一気に引き抜く。
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