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ツクモには、双子の弟がいる。
名前を六三四(ムサシ)外見は、ツクモと瓜二つだが、漫画や小説が好きで、運動や剣術は、苦手ないわゆる内気な性格。
そんな内気な弟が、3年前忽然と姿を消した。
家出をするような度胸も無ければ、事件に巻き込まれた形跡すらない。
この世界から、ただ消えてしまったかのような突然の失踪。
消えたのはムサシだけではない。
家宝の刀である。
『風神』・『雷神』の片方、『雷神』もその姿を消した。
まるで自分達兄弟の行く末を映し出すように……。
世間や警察は、ムサシが家宝を盗んで家出したのでは?と言っていたがそんな事ある訳がない。
何よりムサシは、刀よりも漫画、アウトドアでもなく、インドアな生活を好んでいたのだから。
それだけに、ムサシが消えた理由が全くわからず、また自分の中で、弟の存在がいかに大きなものであったか、居なくなってみて初めて気づかされた。
弟との思い出に浸っていると、部屋に突然ノックの音が響きわたる。
「九十九?またここにいるのですか。入りますよ?」
そう言って部屋に、和服姿の立ち姿が美しい女性が入って来た。
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