1章 理想の世界

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1章 理想の世界

教室内に拍手が響いた。たぶん、俺以外のクラスの全員分。 俺の親友は凄い。 どう表現していいのか分からないけれど、とにかく凄い。 成績中。 運動神経抜群。 部活無所属。 ……………凄い部分あったか?まぁいいんだ。 とりあえず凄い。 そして… おれは今物凄く驚いている。 その驚きってのは半端じゃないんだけど、それを表現出来ないのはさ。 その親友の満面の笑顔のせいだったりするんだ。 そうそう、親友は笑顔。でも、俺は親友の隣のクラス委員くらい引き攣った笑いしてると思う。 いい天気だな。 今年の夏は本当暑いよな。 太陽眩しい。 帰りに引退した部活に顔出してサッカーして帰りたいな。 なんて……まあ、現実逃避しても目の前の事実が変わらないのは知ってんだけどさ。 目の前ってのはさ。 教室には必ずあるじゃん。 黒板って奴。 あるよね。なかったら俺教室って認めないよ。 まあ、そんなんはどうでもいい。 問題は書いてある事なんだよ。 『体育祭役員 団長 愛内夏貴 副団長 但木凛斗 』 うん。 拍手喝采で可決されたわけだよね。 この話し合い終わったら今日は帰れるわけだから俺も早く終わらせて帰りたいよ。開始5分で終わりとか大歓迎だよね。そらみんな拍手だよ。俺だってそうする。…………………あそこにあるのが俺の名前じゃなければね。 俺は 但木凛斗 15歳 目立たず普通にがモットー 成績中の上 運動神経には自信あり サッカー部引退済み 体育祭は嫌いじゃないけどさ。適当に参加して、いや出来れば数少なく適度にサボってね。そんくらいのつもりでいたんだけどさ。 ねぇ、親友の夏貴君?君とか始めてじゃね?まあ、いいけどさ。 何団長に立候補したあげく俺を副団長に推薦とかしてくれてんのかな? 誇らしげに親指立ててるのはなんでなのかな?
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