母の自殺未遂②

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母の自殺未遂②

父が施設に入所し、母は淋しさから、不安定な日が続いた。 ある日母は母方の祖父母宅に電話し、『私死にます』と言って電話を切ったそうだ。慌てた祖父母は、駆けつけてきた。すると、電話の前で包丁でお腹を切った母の姿があったという。 当時は、私はまだ高校生で、授業をそんなことがあったとは夢にも思わず、帰宅した。家に入ると、いつもと違う空気に気づいた。母がいないのはもちろんだが、母が何をしたかすぐに察しが付いた。 なぜかというと、祖母がある程度片づけてはくれていたようだが、電話の周りに血の跡が残っていたからだ。搬送先も分からず、連絡がくるのを待つと共に、私は残りの血の跡を始末していた。
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