9人が本棚に入れています
本棚に追加
母の自殺未遂②
父が施設に入所し、母は淋しさから、不安定な日が続いた。
ある日母は母方の祖父母宅に電話し、『私死にます』と言って電話を切ったそうだ。慌てた祖父母は、駆けつけてきた。すると、電話の前で包丁でお腹を切った母の姿があったという。
当時は、私はまだ高校生で、授業をそんなことがあったとは夢にも思わず、帰宅した。家に入ると、いつもと違う空気に気づいた。母がいないのはもちろんだが、母が何をしたかすぐに察しが付いた。
なぜかというと、祖母がある程度片づけてはくれていたようだが、電話の周りに血の跡が残っていたからだ。搬送先も分からず、連絡がくるのを待つと共に、私は残りの血の跡を始末していた。
最初のコメントを投稿しよう!