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「紹介する。俺の女。」
自慢げに言うと、その子は恥ずかしそうに頭を下げた。
「どっから誘拐してきた?」
俺が茶化すとチャックが
「ふざけんな、ホントに俺の彼女だって。」
そう言うとその子がはじめて口を開いた。
「りんねです。ユウイチがお世話になってます。」
ユウイチ!?
俺とカズはその時初めてチャックの本名を知った。
「その名前で呼ぶなよ!!」
チャックが照れながら突っ込んだ。
にわかには信じられなかったがチャックの彼女だと実感した瞬間、居座ってるのが申し訳なくなってきた。
今時のルックスのりんねと名乗る彼女は元々チャックの前のバンドのスタッフでその頃から付き合ってたらしい。
酒が入って音楽の話に熱くなってきたチャックとカズを横目にタバコに火を付けようとすると彼女がライターを点けて差し出した。
「キャバ嬢?」
「違います。スタッフのときメンバーがタバコ咥えると点けなきゃいけなかったんで癖です。」
そう言って照れくさそうに火を付けてくれた。
俺が、彼女さんは仕事何やってんの?と聞くと。
「りんねでいいです。実は大学生で看護福祉専攻してます。」
「そんな真面目ちゃんなのに何でこいつなの?」
半分真面目に聞くと
「こう見えて結構優しいんですよ。前チャラいメンにしつこくされた時守ってくれて。」
「あぁそれは作戦だよ・・・」
そう冗談で笑い合ってるとチャックが何余計なこと話してんだよ!と突っ込んできた。
りんねを送るとカズはじゃ俺も帰るわ!と言って駅に入って行った。
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