好きが欲しい

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これは予想。だけど第六感が囁く。 きっと素敵な人に会えると……。 「すいません。遅れて」 ミサトが慣れた感じで挨拶する。 ……さすが、目立つ為にいつも遅刻してるだけは、ある。 席にいたのは3人の男性。 「こんばんは」 優しい声があいを招いた。 惹かれるように声の主を見上げた。 わ……、 優しげな瞳に、整った顔立ち。なにげに流行を取り入れたシンプルなスタイル。 アクセントに光り物をつけていても、下品な感じではない。 この人、坊ちゃんなんじゃ……。 今までに会ったことない、育ちのよさを彼から感じた。 「こ……こんばんは」 思わず、口ごもる。 なんか、初めてだ。 ……恥ずかしいなんて……。 彼の気品ある雰囲気に押されたのか、自分が酷く、ガサツな気がした。 彼の名前は「タカヒロ」さんと言った。 何気に隣に座って、話す。 友達の二人も、多分タカヒロさん狙いだろうことは、その視線でわかった。 「あれ……?そういえば、あいちゃんとミサトちゃん、ワンピお揃い?。仲良しなんだね」 タカヒロさんがあいを見て、微笑む。 「あ……これは……」 「そうなんですよぅ。私たち仲良すぎて、服の好みも同じで」 ここぞとばかりに、ミサトが話に食いついてくる。 「あ、でも個性でてるね」 じっと、タカヒロさんがあいを見てくる。 ミサトと比べてるはずなのに、あいの方ばかり見ている……気がする。 嬉しいけど、あんまり真剣に見られると、恥ずかしい。 髪、乱れてないかな? あ、グロス剥げてるかも……、ファンデ、浮いてたりしてない? 考えれば考えるだけ、自信がなくなる。 ちっ…ちょっと…待って。 「着こなし方で性格でるよね。ミサトちゃんは、サバサバ系な感じで、あいちゃんは……」 タカヒロさんの発言に、緊張しすぎて、よく聞かないままに立ち上がる。 「あ、あのっ……、私、トイレっ」 言ってしまった瞬間、自分がやらかしてしまった感がありありと……。 恥ずかしくて、バッグを掴んで、化粧室に飛び込む。 うわぁ……、最悪。 タイムマシンがあるなら、過去に戻ってやり直したい。 いたたまれないってあぁいうことだろう。 ただ見られただけなのに……。 鏡を見ると、ファンデの美肌もなんのその、ユデダコみたいなほっぺが見えた。 恥ずかしい……、きっと意識しまくりなのばれてる。
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