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「一樹はいつも、私の事を好きだって言ってくれるけど…。ねぇ?一樹は、私の為に死ねる?」
「はぁ?死ねるって??ハハッ、いきなり何を言いだすのかと思ったら、美優も案外子供染みた事を言うんだな」
そして彼は、さも面白そうに軽快な笑いを飛ばし続けている。
「何よ~?子供染みてて悪かったね!」
「て言うか美優、ドラマの見過ぎなんじゃないの~?今時、そんな事言う奴居るのかよ~」
ふたつ年上の一樹は、まるで相手にしてくれない。
「…リアルに居たし」
「ん?何?聞こえなかった」
「うぅん、何でもないよ。…じゃ私、そろそろ帰るね」
まるで、空想の世界から現実に引き戻されたかのような、そんな感覚を身体中に受けながら、今度こそ私は助手席のドアを開けて車外へ踏み出した。
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