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これが家の中の僕。
学校でいじめられていることなんか露も見せず、 行ってもいないお祭りのことをさも楽しんだように次から次へと語ってみせられる。
……心配させたくないんだ、母さんを。
ただでさえ父さんが家にいなくて自分も病気で働きにいけないことを気に病んでいるのに、この上僕まで学校でいじめられているのがわかったらどれだけ悲しませることか。
だから僕はずっと弱音を吐いてこなかった。
カムパネルラ、君以外には・・・・・・。
「ふふふ、とても楽しんできたみたいね」
そう言うと彼女は突然、顔を曇らせた。
「良かった・・・・・・気になっていたのよ。いつも学校と仕事で忙しくて、 友達と遊びに行けていないのではないかと。ごめんね。私が身体を壊しさえしなければ、もっともっと自由に、他の子達と一緒に遊べたでしょうに・・・・・・」
僕は首を千切らんばかりに、思い切りブンブン振った。
「何を言っているんだよ、母さん。病気になったのは、母さんのせいじゃないだろう。それに僕は今の生活がとても好きなんだ。だから何も気にすることなんかないんだよ」
ほんの少し嘘を交えながら、まくし立てるように目の前の小さな女の人を元気付ける。
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