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『俺がもし裏家業を行う者だとして、マキナは一緒にいて怖くないのか?』
苦笑いをしていたロゼは、今度は真顔でマキナを見る。
月明かりと宿の灯りに照らされたマキナの顔は少し困ったような顔をしていた。
『正直、怖くないって言ったら嘘になります。
だから……だからこそあの時、止めに行ったのかも知れません。
ロゼさんが、今以上に「怖い存在」にならない様に。』
マキナは俯き呟く。
その声は心なしか震えているように聞こえた。
『怖い存在か……残念だけど、もうなってるよ。
裏家業の裏より深い、怖い存在にね。』
『ロゼさん……。』
それからロゼは黙って空を見上げた。
晴れてはいるものの、その空に浮かぶ月に雲が陰っていた。
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