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『呪われた運命……。よく解りませんが、安心しました。』
『安心? 何だそれ。』
マキナは何か目の前の覆っている霧のような何かを払うように、笑顔で振り返る。
『何かこう上手く言えないんですが、「何かに抗うのを諦めてしまった」感じもしたので……。』
『……!!』
マキナのその言葉に目を丸くするロゼ。
鳩が豆鉄砲をくらう感じとはこの事だろうか。
自分でも気付かなかった「それ」にマキナは感覚で気付いていた。
『ご、ごめんなさい!! でも、諦めないで下さい……寝ますね。』
ロゼは、宿屋に入っていくマキナをただ黙って見ていた。
『(抗うのを諦めるな……か。オヤジ(義父)と同じ事言いやがった。)』
再び空を見上げ雲の影った月をみて、ロゼは義父と話をしていた時の事を思い出していた。
いつしか月を陰っていた雲は消え、月は晴れ晴れと輝いていた。
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