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『いつまで泣いてんだ? 倒したんだから心配ねぇだろ。街も見えてるし。』
安堵もあったのだろうか。
それでもグスッグスッと鼻をすする様に泣きながら歩くマキナ。
『こんな事もあるって分かってたハズだろ。村を出て来る時、「こういう事態」も覚悟はしてたんじゃねえのか?』
『…………(コクッ)。』
小さく頷く姿をみて「ハァー」っと溜め息をつくロゼは、雲一つ無い空を見上げ、手で両目を覆う。
『まぁまぁロゼさん。だからこそ「私達の」護衛ですから。』
『すびばぜん……(泣)。』
『いや、護衛はジュラの仕事だろ。』
護衛の依頼に俺を巻き込むなと言わんばかりに、さらっと流すロゼ。
相当、怖かったのか。マキナが可哀相に見えてくる。
実際、戦闘が始まった時、異形の魔物に接近したのはロゼとジュラの二人。
この二人の方が「もっと怖い」思いをしたのだが……。
ロゼは足を止め「おい」とマキナの肩を叩く。
顔を上げると目の前には街を囲む塀があり、出入口を守備する警護兵の姿があった。
『安心したか? そろそろ泣き止めよ。泣いたまま街に入ったら恥ずかしいだろ。』
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