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『良いんじゃない? 重ね合わせてもさ。』
ロゼはカップの取っ手を摘みゆっくりカップを回す。
渦を描くフルーツティーからは再び甘い香りが立ち上る。
『だってそれが「ジュラの背負った罪」だろ?
あの日……奥さんと娘さんが亡くなった時から背負った罪。』
(亡くなった!?)
マキナは口を抑え、隙間にそっと耳を近付ける。
『喧嘩をしたまま死に別れてしまった家族に対する「後悔という名の罪」。
その罪から目を背けるという事は、その記憶さえも忘れる事。
逆に言えば、常に思い出しているという事は罪を背負う事。
だから、マキナと娘さんを重ね合わせる事は罪じゃない。』
ロゼは少し微笑むとフルーツティーを一気に飲み干し、ジュラを指差す。
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