Episode 3

17/38
前へ
/151ページ
次へ
『良いんじゃない? 重ね合わせてもさ。』 ロゼはカップの取っ手を摘みゆっくりカップを回す。 渦を描くフルーツティーからは再び甘い香りが立ち上る。 『だってそれが「ジュラの背負った罪」だろ? あの日……奥さんと娘さんが亡くなった時から背負った罪。』 (亡くなった!?) マキナは口を抑え、隙間にそっと耳を近付ける。 『喧嘩をしたまま死に別れてしまった家族に対する「後悔という名の罪」。 その罪から目を背けるという事は、その記憶さえも忘れる事。 逆に言えば、常に思い出しているという事は罪を背負う事。 だから、マキナと娘さんを重ね合わせる事は罪じゃない。』 ロゼは少し微笑むとフルーツティーを一気に飲み干し、ジュラを指差す。
/151ページ

最初のコメントを投稿しよう!

42人が本棚に入れています
本棚に追加